現代クラシックギターの作曲家兼プレイヤーとして、とりわけ人気の高い「アンドリュー・ヨーク」の曲は、ギターを弾くあらゆる方に聴いてみてほしいと思います。
アンドリュー・ヨークの曲は、クラシックギターとはいっても、いわゆるクラシッククラシックしておらず、独創的だけれども、非常に親しみやすい曲ばかりです。
そんな彼のエッセンスが凝縮された二枚組ベストアルバム「サンバースト~アンドリュー・ヨークの世界~」(Sunburst - The Best of Andrew York)は、ギターのポテンシャルや魅力を十分に引き出した、魅力ある一枚です。
おすすめしたい曲が満載!
どれをとっても一聴の価値があるベストアルバムですが、ここでは特におすすめしたい曲をいくつかご紹介したいと思います。
まずは、代表曲ともいえる"Sunburst"。実は、このアルバムには"Sunburst"が2パターン収録されています。1つは、CD-1の一曲目、こちらは音が固いので、おそらくナイロン弦ではなく、スティール弦で演奏していると思います。また、終盤の解放弦を含めたハンマリング&プリングが繰り返される超絶技巧部分が、少し省略されています(もともとがこうなのか?)。もう1つは、CD-2の7曲目のバージョンで、こちらは前奏つきで、ナイロン弦での演奏です。"Sunburst"は、出だしからの勢いも特徴的でしたので、初めて前奏ありのものを聴いたときは余計かなっなんて思いましたが、前奏をよく聴いてみるとヨーク節が炸裂しているとても味わいのあるものでした。聴きなれると、前奏がない方が、どこか作品として物足りなさを感じるようになりました。
次に"Sunday Morning Overcast"、こちらも非常にヨークらしく、夕暮れ前や朝焼け時に外で演奏したくなるような曲です。技巧的には難易度低めなので、ぜひ演奏してみてほしいと思います。
そして"Reflections"、ヨークのバラードエッセンスがよく出ています。落ち着いた夜に流したい曲ですね。
"Sunshine Rag"は、だいぶ毛色が違う曲で、いわゆるスタンダードなラグタイムナンバーです。良くも悪くもヨークらしさが薄くて、こういった下地もあるのだなっと思わせられます。ちなみに、地味にミュートをかけるのが難しい曲です。
"Andecy"は簡単な割に、とてもカッコいいナンバーです。よく演奏会などでも取り上げられることがあり、個人的にはヨークの入門曲的なイメージです。シンプルでいて、ここまでカッコいい曲に仕上げられるのがさすがですね。
"Letting Go"を聴いたときは、もはやヨークをギタリストとせまく括るべきではないと思うほど感動しました。音楽作品としてのストーリーができあがっていて、美しすぎます!ちなみに、途中でヨーク自身の声が入ります。・・ので、そういう意味でも演奏ハードルは高いかも。
ギター2本で演奏される"Sanzen-In"(三千院)は、ヨークが京都大原にある三千院に訪れたときにインスパイアされて作った曲と言われています。夜の三千院といったイメージがあって、バラードともジャンル分けできない、独創的なヨークらしい名曲です。
同じくダブルの曲に"Evening Dance"がありますが、こちらはよりしっとりとしていて、おなじ夜のイメージがある曲でも、しんみりさや美しさが際立っています。
CD-2の最初の曲である"Faire"の曲風は"Sunburst"に似ていて、コンパクトな"Sunburst"といった印象です。中間の展開は、とてもヨークらしく、美しく広がりがあり、親しみやすいですね。手頃な難易度なので、演奏していてきっと楽しいと感じると思います。
"Emergence"は、かなり変わった曲です。というのは、超絶技巧という意味でです。途中から始まる連続的な解放弦を含めたハンマリングによる「伴奏」は、とてもきついです。これが伴奏ということは、メロディもあるということで、メロディが死なないように伴奏の音を激しく奏でるというのは、もはや神業だと思います。これは、ぜひ映像で見てみてほしい思います!
"Yamour"は、非常に物語性のある曲です。聴く人によっていろいろな情景が思い浮かぶのではないでしょうか。ギター弾きですら、ギターで演奏されていることを忘れるぐらい、抒情性が豊かです。ちなみに、こちらも途中でヨークの声が聞こえてきます。
以上、ざっと特に好きな曲をピックアップしてみましたが、これらの曲以外ももちろん聴きごたえがありますので、ぜひアルバムを通して聴いてみてほしいと思います(^^)!
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ベスト盤収録曲 CD-1
SUNBURST(サンバースト)
SUNDAY MORNING OVERCAST(サンデー・モーニング・オーヴァーキャスト)
REFLECTIONS(リフレクションズ)
LINUS AND LUCY(ライナス・アンド・ルーシー)
GREEN GALLIARD(グリーン・ガリアルド)
MUIR WOODS(ミュア・ウッズ)
SUNSHINE RAG(サンシャイン・ラグ)
ANDECY(アンデシー)
ROCK SKIPPIN' CREEKSIDE(ロック・スキッピン・クリークサイド)
PERFECT SKY(パーフェクト・スカイ)
LETTING GO(レッティング・ゴー)
SUNDOG-SEVEN IN ESSENCE(サンドッグ ~「セヴン・イン・エッセンス」より)
AUTUMN STREETS-SEVEN IN ESSENCE(オータム・ストリーツ ~「セヴン・イン・エッセンス」より)
CRADLE SONG-KINDERLIGHT(クレイドル・ソング ~「キンダーライト」より)
BY CANDLELIGHT-KINDERLIGHT(バイ・キャンドルライト ~「キンダーライト」より)
CENTERPEACE(センターピース )
SAKURA PERSPECTIVES(桜景色)
SANZEN-IN(三千院)
ベスト盤収録曲 CD-2
FAIRE-3 DELINEATIONS(フェア ~「3つの描写」より)
EMERGENCE-3 DIAGRAMS(エマージェンス ~「3つのダイアグラム」より)
LULLABY-3 DELINEATIONS(ララバイ ~「3つの描写」より)
BAGATELLE-3 DANCES(バガテル ~「3つの舞曲」より)
CHILEAN DANCE(チリアン・ダンス)
FREELIN'(フリーリン)
INTRODUCTION TO SUNBURST-SUNBURST(イントロダクション~サンバースト)
SIROCCO(シロッコ)
MARLEY'S GHOST(マーレーズ・ゴースト)
EVENING DANCE(イヴニング・ダンス)
YAMOUR(ヤムール)
RIDE-GLIMMERINGS(ライド ~「グリマリングス」より)
WOVEN WORLD-WOVEN HARMONY(ウォーヴン・ワールド ~「ウォーヴン・ハーモニー」より)
MOONTAN(ムーンタン)
LAMENT(ラメント)
MECHANISM(メカニズム)
DARKNESS DREAMING(ダークネス・ドリーミング)